補給線~何が勝敗を決定するのか~
『補給線~何が勝敗を決定するのか~』を読んだ。
ヨーロッパにおける戦争史を『兵站』の観点から分析した名著である。
16世紀の戦争~第二次世界大戦までの戦争史であるが、
後半になるほど、イメージがわきやすく面白く読めた。
ただし、いかんせん世界史の知識、軍事学の知識が不足しているため、
書いてある内容をかみ砕いて理解する事は出来なかったのが悔やまれる。。。
感想としては、こんな所にはこの本を読んで考えた事をまとめてみたいと思う。
どの時代の戦争においても『兵站』の壁となったのは、
補給される側と補給する側との優先度の問題があげられる。
前線への補給線は、限られており戦闘部隊と補給部隊のどちらが
先に道を通るべきなのか・・・?
結果的には、戦闘部隊が優先されるが、そのために前線では補給不足となってしまう。
この事実を知って、自分の仕事(IT関係)に結びつけて考えてみると・・・
ITの世界では、よく『冗長化』という言葉が使われることがあり、
もしものためにネットワークの冗長化、電源の冗長化、サーバーの冗長化が行われている。
※『冗長化』・・・最低限必要な量より多めに設備を用意しておき、一部の設備が故障してもサービスを継続して提供できるようにシステムを構築すること。
戦争時において、補給線の『冗長化』は行われないのだろうか??という疑問がわいた。
やはり補給線を増やすまでのコストをかけるのは、メリットが得られないのだろうか??
陸上における補給線の場合、物理的な制限を受ける事も考えられる。
そのため20世紀の戦争からは、飛行機が登場し、空からの輸送が行われるようになった。
これにより、戦争の舞台は、陸上、海上に続いて空も加わることになり、補給線を維持するためには、制空権の争いが発生した。
したがって、万全な補給線を気づくためには、制空権の確保ではなく、さらにその上の制宙権の確保が必要となるのであろう。
しかし、制宙権となると、宇宙条約が関わってくる。
まぁ正直大国同士の戦争となった場合には、条約は無視されるのでだろう・・・
以上から、戦争における戦闘のみならず「兵站」という観点からも、今後航空・宇宙技術への投資が必要であると考えられる。
この本を軸に他の分野の本を読み、考えを深めていこうと思う。
またいつかは、「兵站」の必要としない軍隊とは?というテーマを考えてみたいと思う。